「こども支援NISA(仮称)」とは?18歳未満もNISA解禁へ──制度案の中身と家庭へのインパクトを専門家が整理

NISA

こんにちわ。一条です。

最近、NISAの新制度としてこどもNISA(仮称)が税制改正で2026年度から導入される可能性が高まっていることが報じられています。

今回の記事では、経済アナリストとして今回のこどもNISAが現時点で発表されている内容がどんなものなのか、また現在の情報で制度が実際に運用されることになった場合に、どのような家庭がこのこどもNISAを導入して運用するべきなどかを私の視点で記事にしたいと思います。

NISAについては、鷹見さんが専門ですが、これはまだ正式に導入されていない制度でありますので、解説という形で私が文を担当したいと思います。よろしくお願いいたします。

  1. 1.いま決まっていること/まだ「案」にすぎないこと
    1. 1-1.公式資料と報道で確認できる「事実」
    2. 1-2.数字が出ている部分は「報道ベースの案」
  2. 2.現行制度と比べて「こどもNISA(仮称)」案はどこが違う?
    1. 2-1.現在の新NISA(2024年?)の基本スペック
    2. 2-2.かつての「ジュニアNISA」との違い(※ここはあくまでこどもNISA案ベースとの比較)
  3. 3.制度導入の「政策的な狙い」──ここは事実ベースで押さえる
    1. 3-1.若い世代からの長期・分散・積立投資を広げたい
    2. 3-2.こども・若者の金融リテラシー向上
    3. 3-3.少子化対策・こども支援の一環としての位置づけ
  4. 4.導入されたらどんなメリットが期待できるか(※ここから私見です)
    1. 4-1.「こども名義」で非課税の長期投資ができる
    2. 4-2.ジュニアNISAよりも「使いやすさ」が上がる可能性
    3. 4-3.「児童手当+こどもNISA」で、“将来の自分への仕送り”に
  5. 5.どんな人・家庭が「やると良さそう」か(※この章はすべて私見です)
    1. 5-1.「親の新NISAはすでにフル活用しつつ、こどもの教育資金も積極的に準備したい家庭」
    2. 5-2.「児童手当や定期的な仕送りを“そのまま積立”できる家庭」
    3. 5-3.「将来の金融教育にも力を入れたい家庭」
    4. 5-4.逆に、いまの段階では慎重になった方が良いケース
  6. 6.制度がまだ確定していない今、できる準備は?
    1. 6-1.「制度がなくてもできること」を淡々とやる
    2. 6-2.制度の「確定情報」を追うためのアンテナを立てておく
  7. 7.まとめ──「こどもNISA」は“魔法の制度”ではないが、使いこなせば心強いインフラになり得る
    1. 7-1.いま分かっていること/まだ「案」にすぎないこと
    2. 7-2.政策的な狙いは「3つの柱」で整理できる
    3. 7-3.どんな家庭にとって「心強いインフラ」になり得るか(※ここから完全に私見)
    4. 7-4.“魔法”ではないが、スタートラインを静かに変えていく
    5. 参考情報・情報ソース(2025年12月10日時点)
  8. この記事を書いた人

1.いま決まっていること/まだ「案」にすぎないこと

まずは、「こども支援NISA(仮称)」について、どこまでが公的機関が出している“公式情報”で、どこから先が“報道ベースの案”なのかをきちんと切り分けます。

このセクションは、2025年12月10日時点で確認できる一次情報・大手メディア・金融機関の解説にのみ基づいており、私(一条 蓮)の憶測は一切含めません。

1-1.公式資料と報道で確認できる「事実」

まず押さえておきたいのは、「こども支援NISAを含むNISA拡充」が、すでに政府・金融庁の正式な税制改正要望に乗っているという点です。

  • 金融庁が公表した

    「令和8(2026)年度 税制改正要望について」

    のなかで、「資産運用立国」の柱のひとつとしてNISAの拡充が掲げられています。
  • 同要望の詳細版にあたる財務省資料

    「令和8年度税制改正要望事項(NISA対象商品の拡充を含む制度の充実)」

    では、要望内容として
  • 「① こども支援の一環として、つみたて投資枠における対象年齢等の見直し」
    が明記されています。ここで初めて、「こども支援」と「つみたて投資枠の対象年齢見直し」がセットで書かれています。
  • 同じ資料には、
    「あらゆる世代が自身のライフプランに沿った形で資産形成を行えるよう、NISAの一層の充実を図ること」
    という趣旨も示されており、若年層・こども世代も含めたNISA拡充が政策ターゲットに入っていることが分かります。

さらに、マクロな政策の文脈としては、政府が掲げる「資産運用立国」や「骨太方針2025」のなかでも、こども・若者の資産形成や「こども支援NISA」が取り上げられています。たとえば、

三菱UFJアセットマネジメントのレポート「資産運用立国実現プラン2.0~こども支援NISAとプラチナNISA」

では、「骨太方針2025」の中で、次世代の資産形成策の一つとしてこども支援NISA構想が整理されています。

また、こうした政府・金融庁の方針を受けるかたちで、大手メディアも相次いで「18歳未満へのNISA拡大」について報じています。

ここまでをまとめると──

■この段階で言える「事実」
・金融庁の税制改正要望に「こども支援の一環として、つみたて投資枠の対象年齢見直し」が明記されていること。
・政府の成長戦略・骨太方針でも、こども・若者の資産形成や「こども支援NISA」が取り上げられていること。
・大手メディア各社が「政府・与党がこどもNISA創設に向けて調整している」と報じていること。

つまり、「こども支援NISA(こどもNISA)」という枠組みそのものを作る方向で、政府と与党が公式に動いていることは、一次情報と報道の両側から確認できる、というのが現時点の結論です。

1-2.数字が出ている部分は「報道ベースの案」

では、皆さんが一番気になるであろう

「何歳から使えるのか」「年間いくらまで投資できるのか」「非課税枠はいくらか」

という具体的な数字はどうでしょうか。

結論から言うと、これらの数字はすべて“報道ベースの案”であり、法律や政令として確定したものではありません。

代表的な報道・解説を整理すると、次のような「案」が語られています。

  • 前述の

    テレ朝NEWS

    は、政府・与党が検討している案として、次のようなポイントを挙げています。

    • 新NISAの「つみたて投資枠」に限り、対象年齢18歳以上という条件を撤廃し、0歳から投資可能にする方向で調整。
    • 子どもの名義で口座を開き、進学など将来の子育て資金に充てる想定。
    • 親の資産運用目的での利用を避けるための案として、引き出せる年齢を12歳からに制限
    • 年間投資額を現在のつみたて投資枠(120万円)の半分である60万円に抑える案。
    • 非課税で保有できる上限額を600万円とする案が検討されている。

  • TBS NEWS DIG の記事

    や、

    Bloombergと共同配信された解説記事

    でも、
    「つみたて投資枠のみ年齢制限を撤廃し、投資額の上限を600万円とする方向で調整している」
    ことが報じられています。
  • 証券会社の解説としては、

    楽天証券「こどもNISAとは?2026年度税制改正で誕生か」

    が分かりやすく、現時点の案として次のような「見込み」を紹介しています(2025年12月4日時点の情報に基づくと明記)。

    • 対象年齢:18歳未満
    • 年間投資枠:60万円
    • 非課税保有限度額:600万円
    • 非課税期間:無期限
    • 払出し制限:概ね12歳から引き出し可能になる方向
  • FPメディア

    finwell「つみたて投資枠『こどもNISA』対象0歳、引き出し12歳から」

    でも、金融庁資料や上記ニュースを整理するかたちで、
    「0歳から利用でき、12歳以降に払出し可能」「年間60万円・上限600万円案」
    など、同様の枠組みが「検討されている案」として解説されています。

■ここがとても大事なポイント
・「0歳から利用可能」「年間60万円」「上限600万円」「12歳から払出し可」といった数字は、
→ 金融庁・財務省の要望書には一切書かれていません。
・これらはすべて、「政府・与党がこうした内容で調整している」と報じたニュースや、
そのニュースをもとに整理した金融機関・専門メディアの解説レベルの情報です。
・与党の税制改正大綱も、その後の税制改正法の成立・施行も、この記事執筆時点(2025年12月10日)ではまだこれからです。

ですから、この先の記事では、

  • 具体的な数字や制度設計について触れるときは、必ず「◯◯という報道(または△△の解説)によると」と出典を明示する。
  • それらの内容は今後変更される可能性がある前提で、「現時点で分かる範囲の情報」として扱う。

というルールで整理していきます。
「すでに決まった制度」として断定的に語るのではなく、公表資料と信頼できる報道に照らし合わせながら、一歩引いた視点で読み解いていくここが、経済アナリストとしてお伝えしたいスタンスです。

2.現行制度と比べて「こどもNISA(仮称)」案はどこが違う?

ここでは、すでにスタートしている新NISA(2024年~と、かつて存在したジュニアNISAを土台にしながら、報道ベースで見えてきている「こどもNISA(こども支援NISA・仮称)」案の位置づけを整理します。

このセクションも、金融庁などの公式資料と、大手金融機関・メディアの解説に基づく「確認できる事実」のみを扱い、私(一条 蓮)の推測は含めません(比較の視点や言い回しは私の編集です)。

2-1.現在の新NISA(2024年?)の基本スペック

まずは、2024年から始まった「新NISA」の枠組みをおさらいしておきます。

制度の中身は、金融庁のNISA特設サイトや、主要金融機関の解説で共通して整理されています。

これらを踏まえると、新NISAの基本スペックは次の通りです。

■ 新NISA(2024年?)の主なポイント

  • 対象年齢:18歳以上
  • 年間投資枠:
    • つみたて投資枠:120万円/年
    • 成長投資枠:240万円/年
    • 合計:360万円/年
  • 生涯の非課税保有限度額(いわゆる「生涯投資枠」):
    ・つみたて投資枠+成長投資枠の合計で1,800万円まで
    ・うち成長投資枠は1,200万円まで
  • 非課税保有期間:無期限(「いつまで持ってもOK」という設計)
  • 旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)とは別枠で管理され、売却すれば枠が復活するロールオーバー的な仕組み。

※出典:金融庁「NISAを知る」、楽天証券「新NISAの上限額・限度額は?」、三井住友銀行 MONEY VIVA など

そしてもうひとつ大事なのが、「新NISAは18歳未満は利用できない」という点です。

  • 金融庁サイトや各社の新NISA解説では、口座開設の条件として「日本在住の18歳以上」であることが明記されています。
  • 楽天証券などの説明でも、未成年者は新NISAの対象外であり、投資をする場合は「未成年口座(課税口座)」を利用する必要がある、と整理されています。
    参考:
    楽天証券「こどもNISAとは?2026年度税制改正で誕生か」

つまり現在は、18歳未満のこども自身がNISA口座を持つことはできないため、こども名義で資産形成をしようとすると、

  • 証券会社の「未成年口座」(通常の課税口座)で投資をする
  • 親が自分の新NISA枠を「教育資金用」と位置づけて運用する

といった工夫が必要になるわけです。
ここに「こどもNISA(こども支援NISA・仮称)」が新たに加わると、“親のNISA”と“こどものNISA”という2本立てで非課税枠を使い分けられる可能性が出てきます(※ここは制度が実現した場合の一般的なイメージであり、詳細なルールは今後の法令に依存します)。

新NISAについて、更に詳しく知りたい場合は弊ブログの鷹見さんの記事を併せてお読みください。

初心者がまず読むべきNISA入門|仕組み・メリットを生活の言葉で徹底解説【2025年最新版】

2-2.かつての「ジュニアNISA」との違い(※ここはあくまでこどもNISA案ベースとの比較)

2023年末まで運用されていたジュニアNISAは、こども名義での非課税投資制度として「こどもNISAの前身」とも言える存在でした。
金融庁や金融機関の解説をもとに、ジュニアNISAのスペックを整理してみます。

■ ジュニアNISA(?2023年)の主な制度内容

  • 対象:日本在住の0~19歳(途中で18歳未満に変更)
  • 年間投資枠:80万円/年
  • 非課税保有限度額:最大400万円(80万円×5年)
  • 非課税期間:各年の投資分ごとに最長5年間
  • 払出し制限:原則18歳まで払出し不可
    ※2024年以降は制度終了に伴う特例で払出し制限が緩和。

※出典:金融庁「2023年までのNISA」、各種金融機関の解説ページ

こうして見ると、ジュニアNISAは

「こどもの大学進学まで“ガッチリ拘束”しておく教育資金専用の非課税枠」

という性格が強く、途中でお金が必要になっても柔軟に取り崩しにくいことが課題視されてきました。

では、その“後継候補”とされる「こどもNISA(こども支援NISA)」案は、どのあたりが違うのでしょうか。

ここからは、あくまで報道・金融機関の解説が伝えている「案」の範囲で比較していきます。

■ 報道ベースで見えている「こどもNISA(仮称)」案の概要
(※以下はすべて、ニュースおよび金融機関の解説が伝える「検討中の案」であり、法令で確定した内容ではありません)

  • 対象:18歳未満(0歳から口座開設・利用可能にする方向で調整中)
  • 対象枠:新NISAの「つみたて投資枠」に限定
  • 年間投資枠:60万円/年(つみたて投資枠120万円の半分とする案)
  • 非課税保有限度額:600万円案が複数の報道・解説で示されている
  • 非課税保有期間:無期限(新NISAと同様の扱いになる見込みと解説されている)
  • 払出し制限:12歳から引き出し可能にする案(親の資金流用を防ぎつつ、教育費等に使いやすくする狙い)

※出典:テレ朝NEWS、TBS NEWS DIG、楽天証券「こどもNISAとは?2026年度税制改正で誕生か」などの報道・解説

こうしてジュニアNISAこどもNISA案を並べてみると、性格の違いが浮かび上がってきます。

■ ジュニアNISA vs こどもNISA(案)──性格の違い

  • ジュニアNISA:
    ・5年ごとの非課税期間、上限400万円、18歳まで原則払出し不可。
    → 「大学進学までロック」型で柔軟性に欠けるとの指摘が多かった。
  • こどもNISA(案):
    ・無期限非課税、上限600万円案、12歳から払出し可という報道。
    → 「長期投資をしつつ、中高生以降の教育費などにも柔軟に使える」方向性を目指しているように見える。

※この整理は、公表されている数値・仕様に基づいた私(一条 蓮)の「性格付け」の表現であり、制度の最終的な詳細は今後の法令・政省令で確定します。

繰り返しになりますが、こどもNISA(こども支援NISA)の具体的な数値・条件は、いまも調整中の「案」であり、正式決定ではありません。

次のセクション以降では、こうした「現時点で見えている枠組み」を前提にしつつ

・なぜこうした設計が検討されているのか
・導入された場合、家計や教育資金の準備にどんな意味を持ち得るのか

を、できるだけ生活の言葉に落とし込みながら解説していきます。

3.制度導入の「政策的な狙い」──ここは事実ベースで押さえる

「こども支援NISA(こどもNISA・仮称)」は、思いつきの単発施策ではなく、ここ数年政府が進めている「資産運用立国」「次世代の資産形成」「こども政策」などの流れの中に位置づけられている制度構想です。

ここでは、金融庁・財務省・こども家庭庁などの公式資料と、関連する公的機関・専門機関の文書に基づき、こどもNISA構想の「政策的な狙い」を、事実ベースで3つに整理します。

■ こどもNISA構想の“3つの柱”(公式資料から読み取れる狙い)
1.若い世代からの「長期・積立・分散」投資の普及
2.こども・若者の金融リテラシー(お金の教養)の底上げ
3.こども支援・少子化対策の一環としての「将来の生活基盤づくり」

3-1.若い世代からの長期・分散・積立投資を広げたい

まず前提として、金融庁はNISAを含む資産形成の基本として「長期・積立・分散」を一貫して強調しています。

  • 金融庁「資産形成の基本:NISA特設ウェブサイト」では、
    長期・積立・分散投資を組み合わせることで、複利効果を活かしながら安定的な資産形成を目指せることを、図解つきで説明しています。

    https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/invest/
  • 「NISA早わかりガイドブック(2024年版)」や

    「NISAを利用する皆さまへ」(金融庁スライド)

    でも、
    「積立投資で高値づかみのリスクを抑え、分散投資で特定のリスクを軽減し、
    それらを長期間続けることで複利効果を享受しつつ安定的な資産形成に取り組める」と示されています。
  • 内閣府・金融庁などが策定した

    「資産運用立国実現プラン」

    でも、家計が貯蓄から投資へシフトし、資産所得を増やしていくことが重要な政策目標とされています。

こうした流れを踏まえて

金融庁の「令和8(2026)年度 税制改正要望(NISA関連)」

を見ると、

  • 「若年層を含め、あらゆる世代の長期・安定的な資産形成を支援するために、NISAの一層の充実を図る必要がある」
  • 「若い世代から資産形成に取り組むことを促進するための環境整備」が項目立てされている

ことが明記されています。

同じ文書の中で、「こども支援の一環として、つみたて投資枠における対象年齢等の見直し」という要望が置かれているため、こどもNISA構想は、まさに「若い世代から長期・積立・分散投資を始めてもらうための仕組み」として位置づけられている、と読むことができます。

言い換えると、政策側の発想はとてもシンプルです。

・長く時間をかけてコツコツ投資するほど、複利の力を活かしやすい
・であれば、若い世代のうちから「長期・積立・分散」にアクセスできる制度を用意したい
→ その有力な手段として、「こども支援NISA(こどもNISA)」が検討されている

3-2.こども・若者の金融リテラシー向上

2つ目の狙いは、こども・若者の金融リテラシー(お金の知識・判断力)の底上げです。

  • 金融庁は

    「金融経済教育について」

    の中で、2024年に設立された

    金融経済教育推進機構(J-FLEC)

    を紹介し、
    「幅広い年齢層に向けて、国民各々のニーズに応えた金融経済教育の機会を官民一体で届けていく」としています。
  • J-FLECは、金融庁所管の認可法人であり、「中立・公正な立場から官民一体で金融経済教育を推進する唯一の公的機関」と位置付けられており、学校教育や社会人向けセミナー等を通じて、金融リテラシーの向上を図る役割を担っています。
  • こうした「金融教育を国策として進める」流れと並行して、楽天証券などの金融機関の解説では、こどもNISA構想の意義として「子どもが自分名義の投資を経験することで、金融リテラシー向上につながる」点が繰り返し指摘されています。
    参考:

    楽天証券「こどもNISAとは?2026年度税制改正で誕生か」

公的資料の言葉をまとめると、政策側は

・国民全体の金融リテラシーを高める
・そのための金融経済教育(J-FLEC等)を充実させる
・同時に、実際に投資に触れられる制度(NISA)を整備する

という「教育」と「制度」を両輪で回そうとしていることが分かります。

こどもNISAは、単に税金を減らす仕組みというだけでなく、「実物教材としての投資枠」を子ども世代にも用意することで、金融教育を生活レベルに落とし込むためのインフラとして期待されている、と整理できます。

3-3.少子化対策・こども支援の一環としての位置づけ

3つ目の狙いは、こども支援・少子化対策の一環として、次世代の生活基盤(とくに資産面)を整えることです。


  • 金融庁の令和8年度税制改正要望(NISA関連)

    では、
    「子供支援・少子化対策の一環として、格差や金融リテラシーに配慮しつつ、NISAの活用を含め次世代の資産形成を進める具体策を検討する」
    といった趣旨が明記されています。
  • 同じく令和8年度税制改正要望の中で、

    こども家庭庁(こども政策関連)の要望書

    を見ると、
    「若い世代が、学び・就職・結婚・出産・子育てといったライフイベントが重なる時期において、現在の所得や将来の見通しを持てるようにすること」
    「若い世代の将来にわたる生活の基盤を確保し、将来に希望を持てる社会をつくることが、少子化の克服の鍵である」
    といった基本理念が示されています。
  • 日本証券業協会が政府に提出した

    「令和8年度税制改正に関する要望」

    でも、
    「若者から高齢者まで全世代の安定的な資産形成支援」の一環として、
    「こども支援や少子化対策の一環としての若年層の資産形成の推進」「つみたて投資枠に限り、未成年でも利用できるようにすること」
    が要望事項として盛り込まれています。
  • 金融庁の

    「資産運用立国について」

    では、
    家計の安定的な資産形成を支援し、企業の成長と家計の資産所得の増加を通じて「成長と分配の好循環」を実現することが、資産運用立国の目的とされています。

これらの文書を並べて読むと、政策当局が描いているのは次のようなストーリーです。

・若い世代が、就職・結婚・出産・子育てなど「人生のラッシュアワー」を迎える時期に、
将来への見通しや生活の基盤(資産)を持てるようにする
・そのために、こども支援・少子化対策と資産形成支援(NISA・投資教育)を組み合わせる。
・結果として、「結婚や子育てに希望を持てる社会」をつくり、少子化克服にもつなげていく。

こどもNISA構想は、この文脈の中で

「こどものうちから資産形成のスタートラインに立てるようにする」
「こども・若者世代の将来の選択肢(進学・就職・結婚・子育てなど)を支える一つのインフラ」

として位置づけられている、と事実ベースで整理することができます。

ここまで見てきたように、こども支援NISA(こどもNISA・仮称)は、単独でポンと出てきた制度案ではなく、資産運用立国、金融リテラシー向上、こども・若者政策、少子化対策といった複数の政策ラインが交わる“結節点”のような存在です。

次のセクションからは、この「政策的な狙い」を踏まえたうえで

・導入された場合にどんなメリットが期待できるのか
・どのような家庭との相性が良さそうか(ここからは私見を明示してお伝えします)

を、生活者目線でもう少し具体的に掘り下げていきます。

4.導入されたらどんなメリットが期待できるか(※ここから私見です)

ここから先は、公開されている一次情報や大手メディアの報道を土台にしつつ、私(一条 蓮)が経済アナリストとしてどう整理しているかをお話しします。

数字や制度の枠組みについて触れるときは、必ず
テレ朝NEWS
TBS NEWS DIG
楽天証券の解説
など、具体的な出典に基づいています。

ただし、こどもNISA(こども支援NISA・仮称)はまだ「検討中の案」であり、最終的な制度内容は今後の与党税制改正大綱・法令で変わる可能性がある点にご注意ください。

※このセクションは、私(一条 蓮)の個人的な見解・解釈を含みます。
実際に制度が始まるタイミングで利用を検討される際は、必ず最新の金融庁・財務省の公式情報や、利用予定の金融機関の説明ページをご確認ください。

4-1.「こども名義」で非課税の長期投資ができる

まず、いちばんシンプルで、しかしインパクトが大きいポイントがこれです。

報道ベースでは、
テレ朝NEWS
TBS NEWS DIG
楽天証券の解説
などで、次のような案が繰り返し紹介されています。

  • 対象:18歳未満(0歳から利用可能とする方向で調整中)
  • 対象枠:新NISAの「つみたて投資枠」に限定
  • 年間投資枠:60万円(つみたて投資枠120万円の半分とする案)
  • 非課税保有限度額:600万円
  • 非課税期間:無期限(新NISAと同様になると解説されている)

もし、こうした枠組みが大きく変わらずに実現すると、「こども名義で、非課税の長期積立を行うための専用の“箱”がひとつ増える」イメージになります。

いまの新NISAでは、楽天証券の新NISA解説 などにもある通り、

  • 生涯の非課税保有限度額:1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
  • 対象は18歳以上のみ

となっており、「親の新NISA枠」のなかで

  • 親自身の老後・資産形成
  • こどもの教育資金・独立資金

が、“見えない綱引き”をしているご家庭が少なくありません。

こどもNISAが別枠で用意されるのであれば、目的ごとに財布を分けやすくなる、というのが私のいちばんの評価ポイントです。

・親の新NISA:「自分たちの老後・ライフプラン」を守るための長期投資枠
・こどもNISA:「こどもの将来・教育資金」を育てるための長期投資枠

※どちらも最終的な制度設計次第ですが、「用途のラベルを分けられる」ことは、家計管理の観点から非常に大きいと私は考えています。

人は、「全部同じ口座」に入っているお金ほど、つい曖昧に使ってしまいがちです。

逆に、「これは老後用」「これは子どものため」と目的ごとに箱を分けると、心理的にも手を付けにくくなり、計画が守りやすくなります。

日銀の金融政策があなたのコンビニコーヒーの値段にじわじわ効いてくるように、「お金の箱の分け方」も、10年・20年後の家計の姿を静かに変えていきます。

こどもNISAは、その“箱の分け方”を一段きれいにしてくれる可能性がある──私はそう見ています。

4-2.ジュニアNISAよりも「使いやすさ」が上がる可能性

2つ目に注目しているのは、「ジュニアNISAに比べて、現実の子育てと噛み合いやすそうか」という点です。

廃止されたジュニアNISAについては、金融庁や
楽天証券のジュニアNISA解説
でも、

  • 年間投資枠:80万円
  • 非課税期間:5年
  • 原則18歳まで払出し不可(途中解約はペナルティ)

といった枠組みが紹介されています。

一方で、今回のこどもNISA案について、
テレ朝NEWS などが伝えているのは、

  • 12歳から払出し可能にする案
  • 非課税期間は新NISAと同様に無期限とする方向

といったポイントです(いずれも「検討中の案」であり、確定ではありません)。

ここから先は、私の「生活者としての肌感」も交えてお話しします。
子育ての出費の山場は、「大学入学のタイミング」だけではありません。

  • 中学・高校の受験塾代
  • スポーツ・音楽など、本格的な習い事の遠征費・道具代
  • 短期・長期の留学費用
  • 高専や専門学校への進学費用

むしろ、「小学校高学年~高校生」くらいで、本気の投資が必要になる場面が一気に増えるご家庭も多いはずです。

そう考えると、

・ジュニアNISA:18歳まで原則引き出せない「大学入学までロック」型
・こどもNISA案:12歳から払出し可能で、非課税期間は無期限(と報じられている)

という設計は、「大学だけでなく、中学~高校期の勝負どころにも、こども名義の資産を柔軟に振り向けられる」方向を目指しているように見えます。

もちろん、「払出しやすさ」が増すことは、裏を返せば「つい使ってしまう」リスクでもあります。

ただ、これは制度の欠点というより、家庭のルール設計の問題です。

  • 「中学受験・高校受験までの教育費」
  • 「大学・専門学校進学の費用」
  • 「社会に出るときのスタート資金」

など、どのタイミングの「山」にどの程度使うかを、あらかじめ親子で話し合っておく。

制度側が「柔らかい器」になってくれるぶん、家族側も「言葉」と「ルール」で補強していく──そんな付き合い方が現実的だと私は思います。

4-3.「児童手当+こどもNISA」で、“将来の自分への仕送り”に

3つ目に、個人的にとても可能性を感じているのが、「児童手当やおじいちゃん・おばあちゃんからの援助」と、こどもNISAをセットで考えるという発想です。

たとえば、税理士事務所による解説記事

「こども支援NISAとは?0歳から始める非課税投資制度を徹底解説」(税理士事務所タックスラボ)

でも、

  • こども支援NISAと児童手当を組み合わせた教育資金づくり
  • 祖父母からの贈与と非課税枠(年110万円)との組み合わせ

といったテーマが詳しく取り上げられています(記事内の金額シミュレーションはあくまで一例であり、こどもNISAの正式な制度内容ではありません)

私自身の感覚を言葉にすると、こどもNISAが実現した場合、

・親から見れば:「教育資金・自立資金の準備」
・こどもから見れば:「将来の自分への仕送りを、いまの自分が前倒しでもらっている」

そんな構図に近いと感じています。

児童手当やお祝い金は、日々の生活費に紛れ込んでしまうと、意外なほど「あれ、どこに消えたっけ?」となりがちです。

そこで、

  • 児童手当のうち○割は、原則としてこどもNISAで自動積立する
  • おじいちゃん・おばあちゃんからのお年玉・お祝いのうち、毎年○万円はこどもNISAに入れる

といった「ルール」を最初から決めてしまうと、感情に流されにくくなります。

もちろん、投資である以上、「元本保証」ではありません。

市場が不安定なときには、評価額がマイナスになる時期も普通にあります。

それでも、

  • 18年、あるいは15年前後という長い時間軸で
  • 毎月コツコツ、暴落も含めて積み上げていく

という前提を守ることができれば、銀行預金だけでは届かない「時間×複利」の力を、こどもの世代にプレゼントできる可能性があります。

私がセミナーでよく使う比喩ですが──
親世代がこどものためにできることは、「毎月お金を渡すこと」だけではなく、「お金が育つ仕組みを用意してあげること」でもあります。

こどもNISAは、その「仕組み」のひとつとして、とても相性がいいと感じています。

繰り返しになりますが、ここで述べたメリットは、現時点の報道・公的資料を前提にした、私(一条 蓮)の私見です。
制度が正式にスタートする段階では、
・投資上限額や払出し条件が変わっている可能性
・親の新NISA枠との関係、贈与税・相続税との関係が明確になる可能性
があります。必ず、金融庁や金融機関の最新情報と照らし合わせながら、「自分の家庭にとって無理のない使い方」を一緒に考えていきましょう。

5.どんな人・家庭が「やると良さそう」か(※この章はすべて私見です)

ここからは、完全に私(一条 蓮)の視点・価値観が前面に出たパートです。

公的資料や報道で見えている枠組みを前提にしつつ

「もしこどもNISAがこの方向で実現したら、どんなご家庭と相性が良いか?」

を、マクロ経済と家計の両方を見てきた立場から、あくまで“提案”としてお伝えします。

最終的な判断は、必ずご自身・ご家庭の価値観と最新の制度内容を踏まえて行ってください。

※このセクションは投資助言ではなく、一般的な考え方の紹介です。
実際の運用判断は、各ご家庭の状況やリスク許容度、最新の制度内容を確認した上で行ってください。

5-1.「親の新NISAはすでにフル活用しつつ、こどもの教育資金も積極的に準備したい家庭」

私がまず「こどもNISAと相性が良さそうだな」と感じるのは、こんなご家庭です。

  • 夫婦それぞれが、新NISAで毎月の積立をすでにスタートしている
  • 老後資金や自分たちのライフプランについても、ざっくりとしたイメージは持てている
  • そのうえで、こどもの教育資金・自立資金も計画的に積み上げたいと思っている

こうしたご家庭にとって、こどもNISAはまさに

「こども用の追加の非課税ポケット」

として機能する可能性があります。

いまの新NISAの世界では、どうしても

  • 親の新NISA=「老後も、教育も、その他の将来も、全部ひとまとめ」の資産形成枠

になりがちです。

その結果として、

  • 「教育資金用のつもりで積み立てていたのに、途中で生活費の補填に使ってしまった」
  • 「気づいたら、老後資金よりも子どものための支出に多く回してしまっていた」

という“モヤモヤ”が生まれやすくなります。

もし、こどもNISAが別枠で整備されるなら、家計設計はこう分けられます。

・親の新NISA:「自分たちの老後・ライフプラン用」の長期投資
・こどもNISA:「こどもの教育・自立資金用」の長期投資

お金は色がついていませんが、「どの箱に入れるか」で性格が変わります。

「これは絶対に老後には手をつけない箱」「これはこどものためだけの箱」とラベルを分けることで、

  • 感情の波に左右されにくくなる
  • どこまで教育に出してよいか、ラインを決めやすくなる

という効果が期待できます。

これはエクセルの上では見えませんが、家計を続ける人間の心理にとっては非常に大きい差だと、私は経験上感じています。

5-2.「児童手当や定期的な仕送りを“そのまま積立”できる家庭」

次にこどもNISAと相性が良いのが、「毎月または定期的な“こども向けのお金”がある家庭」です。

  • 児童手当が毎月(または定期的に)振り込まれている
  • おじいちゃん・おばあちゃんから、誕生日や進学のタイミングで決まった額の支援がある
  • ボーナス時に、毎回「こども用にいくらか取り分けよう」と考えている

こうしたお金は、気を抜くと生活費の中にスーッと溶けていきます。

「気づけば全部使っていた」というのが、人間としては自然な流れです。

そこで、こどもNISAが使えるようになったとしたら、私がお勧めしたいのは、

「児童手当が入ったら、そのままこどもNISAの積立設定を動かす」
という“自動ルール”を最初に決めてしまうことです。

ポイントは、「気持ちで頑張る」のではなく、最初から“仕組み”にしてしまうこと。

たとえば、

  • 児童手当のうち、毎月○割(あるいは○円)はこどもNISAへ
  • 祖父母からの支援のうち、毎年○万円まではこどもNISAに入れる

というルールを家族で共有しておき、証券会社側で自動積立設定までしてしまえば、あとは“ほぼ放っておく”ことができます。

もちろん、投資である以上、元本は保証されません。

相場が大きく下がる年には、「あのとき投資を始めなければ…」と不安になる瞬間もあるはずです。

それでも、「こどもの0歳~18歳」という長い時間軸を味方につけられるのは、こどもNISAならではの強みです。

なお、贈与税の取り扱いについては注意が必要です。

祖父母・親など、誰がいくら拠出しているかによっては、贈与税のルールが関係してきます。

年110万円を超えるような高額な資金移動が絡む場合や、相続対策も兼ねている場合は、税理士やFPなど専門家への個別相談を強くお勧めします。

5-3.「将来の金融教育にも力を入れたい家庭」

3つ目に、こどもNISAを“ツール”としてうまく使えるのは、「お金の教育を、きちんと子どもに伝えたい」と考えているご家庭です。

小学校高学年~中学生くらいになると、子ども自身が

  • 「自分名義の口座に、いくらくらい投資しているのか」
  • 「今月は評価額が増えたのか、減ったのか」

を、数字として理解できるようになってきます。

このタイミングは、金融教育にとって絶好のチャンスです。

たとえば、こんな会話ができるようになります。

  • 「今月は、この投資信託から配当が出たね。これは、世界中の企業の“利益の一部”なんだよ」
  • 「基準価額が下がっているけど、毎月同じ金額を積み立てていると、安くたくさん買える月もあるんだ」
  • 「なぜ日本だけじゃなくて、世界全体に分散投資しているのか、考えてみようか」

こうした話は、教科書や動画で学ぶよりも、「自分のお金が動いている」という実感があった方が何倍も頭に残ります。

私自身、これま数えきれないほどの方に金融リテラシー講座をしてきましたが、「自分のお金で経験した話」がある人ほど、理解も早く、行動も継続しやすいと感じています。

こどもNISAは、「勉強の題材」としても極めて優秀な教材になり得る、というのが私の実感です。

5-4.逆に、いまの段階では慎重になった方が良いケース

一方で、「こどもNISAができるなら、とにかく急いで申し込めば得をする」という性質のものでは、決してありません。

経済アナリストとして、そしてファイナンシャルプランナーとして、あえて強めにお伝えしたいことがあります。

次のような状況に心当たりがあるご家庭は、まずはこどもNISAよりも「家計の土台づくり」が優先だと私は考えています。

  • 生活防衛資金(生活費の半年~1年分程度の貯蓄)がほとんどない
  • 毎月の家計が赤字ギリギリで、ボーナスや一時金で埋め合わせている
  • 仕事や収入が不安定で、数ヶ月先の見通しに強い不安がある
  • そもそも「投資の値動きで一時的にマイナスになる」ことに、どうしても耐えられそうにない

こうした状況で、「こどものためだから」と無理に積立投資を始めるのは、リスクの方が大きいと私は思います。

投資がうまくいっている間は良くても、景気後退や株価下落の局面で、

「評価額が減っているのに、生活費も足りない」

という二重のストレスにさらされる可能性があります。

私の基本スタンスは、いつも同じです。

① まずは親の家計の安定と、最低限の預貯金
② そのうえで余力が出てきたときに、親の新NISA
③ さらに余裕があれば、こどもNISA(制度が実現した場合)をどう使うか考える

「こどもの将来のために投資をする」というのは、とても尊い選択です。

だからこそ、親の心と家計がすり減ってしまうような形で無理をする必要はありません。

まずは日々の暮らしと、数ヶ月~1年先の見通しを落ち着かせてから、こどもNISAという“武器”を手に取っても、決して遅くはないと私は考えます。

まとめると──
こどもNISAは、「余力がある家庭が、こどもの将来と金融教育のために使いこなせると、とても心強いインフラ」であって、
「これがないと将来が終わる」といった種類のものではありません。
ご家庭ごとのペースで、「いまの自分たちにとっての“ちょうどいい距離感”」を探していきましょう。

6.制度がまだ確定していない今、できる準備は?

最後に、こどもNISAがまだ「検討中の案」にすぎない今、このタイミングだからこそ冷静にできる準備を整理します。

ここは、事実ベース+私(一条 蓮)の実務的な視点をミックスしたパートです。

6-1.「制度がなくてもできること」を淡々とやる

まず一番お伝えしたいのは、こどもNISAがあろうとなかろうと、資産形成の“土台”としてやることは大きく変わらない、ということです。

代表的なのは、すでに多くの金融機関が推奨している次の2つです。

こどもNISAという「新しい箱」の登場を待ってから動くのではなく、

「今ある制度で、できるだけ合理的に動いておく」
──これが、長期投資では結局いちばんの近道です。

具体的には、次のようなステップを、こどもNISAの有無に関係なく進めておくと良いと考えています(ここから少し私見が入ります)。

  • 親の新NISAの積立額を、家計に無理のないラインで決める(まずは月1~3万円でもOK)
  • 生活防衛資金(生活費の半年?1年分程度)を、普通預金など安全資産で確保しておく
  • 投資の「中身」(どの資産にどの程度振り向けるか)の考え方を、
    金融庁の
    NISAガイドブック
    や動画
    NISA解説動画コーナー
    で、ざっくりと押さえておく
  • こども名義の未成年口座で、「毎月1,000円だけでもいいから積み立ててみる」など、
    子どもと一緒に値動きに慣れていく小さな実験をしてみる

制度は国会の判断で変わりますが、「長期・積立・分散で資産形成を進める」という原則そのものは、10年・20年単位で見ても大きくは変わりません。

だからこそ、こどもNISAの最終形を待つよりも、「時間」を味方につける準備を淡々と進めておく方が、トータルではプラスになりやすいと私は考えています。

6-2.制度の「確定情報」を追うためのアンテナを立てておく

もうひとつ大事なのが、「情報の取り方」を今のうちに整えておくことです。

こどもNISAはまだ「検討中」ですから、SNSや動画サイトでは、どうしても“話を盛った”情報も混ざりやすくなります。

私のおすすめは、次の3つのレイヤーをセットでチェックする習慣を持つことです。

特に、こどもNISAが正式に決まったあとにチェックしておきたいポイントは、次の3つです。

  • 親の1,800万円枠との関係
    ・こどもの600万円(案)が、本当に親とは「完全別枠」なのか
    ・名義の管理や、親子で同じ証券会社を使う場合の実務的な取り扱い
  • 払出し制限の最終的なルール
    ・利用用途に制限があるのか(教育費に限定されるのか、そうでないのか)
    ・何歳から・どのような手続きで払出し可能になるのか
  • 贈与税・相続税との関係
    ・誰が資金を拠出したとみなされるのか(親・祖父母など)
    ・年間110万円の贈与税非課税枠との関係や、「相続対策」としての位置づけ

現時点(2025年12月10日)では、これらの点について「はっきりした条文や政省令はまだ出ていない」状態です。

ですので、

・SNSや動画で見かけた「こうなるらしい」「これが一番得」という話を、そのまま前提にしないこと。
必ず「公式資料+大手金融機関+専門家」の3点セットで確認すること。

日銀の一言で為替が大きく動くように、税制の一文で「得だと思っていたスキーム」が一夜で変わることも、現場ではよくあります。

こどもNISAも同じで、「骨格」はそのままでも、細部のルール次第で家計への影響は変わります。

だからこそ、制度が固まるまでは

  • 「こう決まったらいいな」と期待しすぎない
  • 「もしこの方向で決まったら、うちの家計ではこう使おう」とシナリオだけ考えておく
  • 実際に制度が決まったら、一度立ち止まって、公式情報を読み直してから動き出す

そんな“構え方”がちょうどいいと、私は思っています。

焦らず、でも置いていかれず──。情報の波に振り回されないための「アンテナの張り方」を、このタイミングで一緒に整えておきましょう。

7.まとめ──「こどもNISA」は“魔法の制度”ではないが、使いこなせば心強いインフラになり得る

ここまでかなり長い距離を一緒に歩いてきましたので、最後にこどもNISA(こども支援NISA・仮称)をめぐる全体像を、ぎゅっとまとめます。

7-1.いま分かっていること/まだ「案」にすぎないこと

まず事実として押さえたいのは、こどもNISAが

一方で、具体的な数字や細かなルールは、あくまで「報道ベースの案」にすぎません。

現時点でよく語られているのは、次のような設計です。

  • 年間投資枠:60万円
  • 非課税保有限度額:600万円
  • 非課税期間:無期限(新NISAと同様とする方向)
  • 払出し制限:12歳から払出し可能とする案

これらは、
TBS NEWS DIG
楽天証券「こどもNISAとは?2026年度税制改正で誕生か」
などの報道・解説が伝えている内容であり、まだ法令として確定したものではありません。

7-2.政策的な狙いは「3つの柱」で整理できる

金融庁・財務省・こども家庭庁などの資料を横断して読むと、こどもNISA構想の狙いは、おおむね次の3つに整理できます。

  • ① 若い世代からの長期・分散・積立投資の普及
    └ 金融庁のNISA資料や

    「資産形成の基本」

    で繰り返し強調される、「長期・積立・分散」で複利を活かす資産形成。
  • ② こども・若者の金融リテラシー向上
    └ 金融経済教育推進機構(J-FLEC)の設立や、学校・社会人向け金融教育の強化とセットで、
    投資を通じてお金の知識・判断力を高めてもらう狙い。
  • ③ こども支援・少子化対策の一環としての資産形成支援
    └ 税制改正要望や「資産運用立国実現プラン」で示される、
    「若い世代が将来への見通しを持ち、就職・結婚・出産・子育てを前向きに選択できるようにする」という大きな方針。

つまり、こどもNISAは、「税金がお得な新制度」以上に、次世代の生活基盤づくりを支えるインフラとして構想されていると言えます。

7-3.どんな家庭にとって「心強いインフラ」になり得るか(※ここから完全に私見)

※ここからは、これまでの情報を踏まえた私(一条 蓮)の見解です。
制度の最終形や、各ご家庭の事情によって結論は変わり得ますので、あくまで「考え方の一例」としてお読みください。

私の目線で「こどもNISAと相性が良さそう」と感じるのは、たとえば次のようなご家庭です。

  • 親の新NISAをフル活用しつつ、こどもの教育・自立資金も計画的に積み立てたい家庭
    └ 親の新NISA=自分たちの老後・ライフプラン用、こどもNISA=こどものための長期資金、というふうに
    「目的別の財布」を分けられると、家計管理がぐっとしやすくなります。
  • 児童手当や祖父母からの支援を、こども名義の長期投資に回したい家庭
    └ 「児童手当が入ったら、そのままこどもNISAの積立に回す」といった“自動ルール”との相性がとても良いです。
  • 将来の金融教育を重視したい家庭
    └ 小学校高学年~中学生くらいで、自分名義の運用状況を一緒に確認しながら、
    「投資とは何か」「世界に分散するとはどういうことか」を体感として学べる──これは非常に大きな価値だと感じています。

一方で、たとえこどもNISAが実現しても、

  • 生活防衛資金がほとんどない
  • 収入が不安定で、日々の支払いに追われている
  • 投資の値動きによる一時的なマイナスに耐えられるイメージが持てない

といった状況のご家庭が、「こどものためだから」と無理をして積立を始めるのはお勧めしません。

これは少し強めの言い方になりますが、制度がどうであれ「まずは家計の土台づくり」が先だと、私ははっきりお伝えしたいと思います。

そのうえで余力が出てきたときに、

  • 親の新NISA
  • (制度が実現したあとで)こどもNISA

をどう組み合わせるかを考える──この順番が現実的ではないでしょうか。

7-4.“魔法”ではないが、スタートラインを静かに変えていく

日銀の一言が、じわじわと為替や金利を動かし、やがてあなたのコンビニコーヒーの値段にまで影響してくるように

税制の一文が、お子さんの20年後のスタートラインを静かに変えることがあります。

こどもNISAは、まだ“設計図の段階”にある制度です。

「これさえあればすべて解決」というような魔法の制度ではありません。

それでも、使い方しだいでは、お子さんの将来と金融教育を支える、心強いインフラのひとつになり得ると思っています。

だからこそ、

  • 「いまできること」は今やる(親の新NISA・生活防衛資金づくりなど)
  • 「新しい制度」は、詳細が固まってから淡々と取り入れる(公式情報を確認してから判断する)

というスタンスが、いちばん健全で、いちばん長続きすると私は考えています。

大きく期待しすぎず、しかし冷静にチャンスも見逃さず──そんな距離感で、こどもNISAの議論を一緒に追いかけていきましょう。


参考情報・情報ソース(2025年12月10日時点)

この記事の作成にあたり、主に以下の一次情報・解説を参照しました。

※本記事の内容は、上記の公的資料・各社の解説記事(2025年12月10日時点公表分)をもとに、一条 蓮の視点で整理・編集したものです。
制度内容や数値は、今後の税制改正大綱・法令の決定により変更される可能性があります。
実際に投資・口座開設等の判断をされる際は、必ず最新の金融庁・財務省の公式情報および、利用される金融機関の説明をご確認ください。

この記事を書いた人


一条蓮のプロフィール画像

一条 蓮(いちじょう れん)

経済・金融ニュースをわかりやすく解説!経験豊富な経済アナリスト

【経歴】

1971年、福岡県北九州市生まれ。父は中小製造業の営業マン、母は公立中学校の国語教師。
幼い頃から「景気が悪いとボーナスが減る」父の背中と、新聞を声に出して読む母の姿を見て育ち、「経済」と「言葉」の両方に自然と興味を抱く。
都内国立大学経済学部卒業後、大手証券会社のリサーチ部門に入社。入社してしばらく後に同業者の山一證券の自主廃業など大きな経済動乱を経験し、「難しいことを、難しいまま伝えるレポートは誰も救えない」と痛感。
以後、「生活者目線の経済解説」にこだわり続ける。現在は独立系の経済アナリストとして、ファイナンシャルプランナーとして活動しながら、マクロ経済・金融政策・資産形成をテーマに、個人投資家向けの解説記事やセミナーを多数発信している。

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