【2025年12月】金価格が1g=2万5,000円突破|年初来+70%の背景と「今から買う」資産形成の判断軸

金融・経済ニュース解説
 

結論から言うと、私は「金を資産形成で使う価値はある。ただし“買い方”と“役割”を間違えないことが前提」だと見ています。今回の上昇は、金そのものの強さに加えて円安という“上乗せ”が効いた局面です。だからこそ、いま投資判断を急ぐよりも、

(1)何が価格を動かしているのか
(2)どの条件で上がりやすく/下がりやすいのか
(3)あなたの家計にとって金が必要か

を、順番に整理するのが安全です。

執筆:一条 蓮(経済アナリスト|マクロストラテジスト)/更新日:2025年12月24日


1. まず事実:国内の金が「2万5,000円」を超えた(同日でも値が動く)

国内の金(店頭小売価格)の代表的な目安として参照される田中貴金属の公表値では、
2025年12月24日 9:30時点で 25,015円/g(税込)となり「2万5,000円台」を記録しました。
ただし相場は1日で固定ではなく、同日14:00公表では24,901円/gへやや押し戻されています。

ポイント:「同じ日でも価格が動く」=それだけ足元は過熱と変動が大きい

  • 9:30公表:店頭小売 25,015円/g(買取 24,823円/g)
  • 14:00公表:店頭小売 24,901円/g(買取 24,710円/g)

出所:
田中貴金属(日次推移)
田中貴金属(貴金属価格情報)

また報道では、金(スポット)が1オンス4,500ドル超となり
年初来で70%超上昇と伝えられています(背景要因として安全資産需要など)。
OANDA(共同通信)


2. なぜ急騰?円建て金は「金(ドル)×ドル円」で決まる

ここが最重要です。国内で私たちが目にする「円建て金価格(円/g)」は、ざっくり言うと次の掛け算で説明できます。

円建て金(目安) ≒ ドル建て金(世界の金) × ドル円(円安/円高) + 国内コスト

つまり今回の急騰は、(A)世界の金高に加えて、(B)円安が上乗せされた「二段ロケット」になりやすい構造です。
円安が指摘される記事としては、NewsCastなどがあります。

かみ砕きバージョン:
世界で金が上がって、さらに円が弱い(円安)と、輸入品のように「円で見た値段」が跳ねやすい。金はまさにその形で動きます。


3. 今回の上昇を動かした“4つのエンジン”

エンジン①:世界の金が高値圏(ドル建て金の上昇)

報道では金スポットが4,500ドル超の節目に乗せ、年初来+70%超という急騰局面にあります。
OANDA(共同通信)

また、相場解説として外為どっとコムは、地政学リスクや利下げ見通しを背景に上昇が続く見方、テクニカル面の論点も提示しています。

エンジン②:円安(ドル円)が“円建て価格”を押し上げ

円安局面では、同じドル建て金でも円建ての見え方が大きく上がります。

この点は、円安要因を背景に国内金が上昇してきたとするNewsCastの説明と整合します。

エンジン③:地政学・不確実性(“有事の金”)

金が買われる典型は「不安が増えたとき」

報道では、特定の地政学要因が安全資産需要につながった説明があります。
OANDA(共同通信)

エンジン④:米利下げ見通し → 実質金利低下が追い風になりやすい

金は利息を生まない資産なので、一般に実質金利(名目金利−インフレ)が下がる局面で相対的な魅力が増えやすいと整理されます。

金市場の中長期観測としては、たとえばWorld Gold Council(Gold Outlook 2026)のような業界の一次情報が参考になります。


4. 今後の見通し:私は「3つのシナリオ」で点検する

未来は不確実です。だから私は「価格を当てにいく」よりも、条件が揃えばこうなりやすいというシナリオで見ます。
とくに金は、短期で材料が入れ替わりやすい資産です。

シナリオA(中心):高値圏での“もみ合い”

  • 急騰局面は利食いも出やすく、良い材料がある程度織り込まれている可能性
  • ただし不安が消えない限り、大崩れもしにくい(押し目買いも入りやすい)

シナリオB(上振れ):不安継続+実質金利低下+ドル安

  • 地政学・景気不安が続き、リスク回避が強まる
  • 米金融政策が緩み、実質金利が低下しやすい
  • ドル安が重なると、ドル建て金が上がりやすい環境

中長期の論点は
World Gold Council
の整理が参考になります。

シナリオC(下振れ):安心の回復+実質金利上昇+円高

  • 不安が後退し、リスク資産へ資金が戻る
  • 実質金利が上がり、金の相対魅力が低下
  • 日本の投資家にとっては「円高」が加わると、円建て金の下げが大きく見えやすい

私の見取り図:金は「世界の金」だけでなく、あなたの資産では“為替(ドル円)”が同じくらい重要です。


5. いま金を買うのは有効か?資産形成の“役割”で判断する

ここが読者のみなさんにとって一番大事な話です。
私は金を「増やす主役」ではなく「家計の防波堤(分散・保険)」として使うと合理性が出やすいと考えています。

(結論の整理)金が向きやすい人/向きにくい人

タイプ いまの金投資の相性 私の見解(断定しない)
資産の守りを強くしたい(分散) 高値でも“一部だけ”の保険としては機能し得る。買うなら分割が無難。
相場を当てて短期で増やしたい 年初来+70%後は変動が大きい。短期勝負は優位性が落ちやすい。
投資が初めてで、まだ生活防衛資金が薄い △〜× まずは生活防衛資金→つみたて分散の順が王道。金は“後から”でも遅くない。

資産形成ブログとしての提案:私は「金=サブエンジン」設計を勧めます

もし金を組み込むなら、私が推奨するのは次の考え方です(※一般論。個別の投資助言ではありません)。

  1. 比率を先に決める:資産全体の中で「何%まで」と上限を作る(例:0〜10%など)
  2. 時間分散:いきなり一括ではなく、積立・分割で平均購入価格をならす
  3. リバランス:上がったら売って比率を戻す。下がったら買い増しは“比率ルール内”で

生活目線の比喩:
金は「アクセル」より「シートベルト」に近い。
事故が起きないのが一番ですが、万が一のときに“家計の痛み”を減らす役割を持ちます。


6. 買い方(現物・ETF等)とコスト、税の落とし穴

現物(地金・コイン)

  • メリット:信用リスクを小さくしやすい/保有の実感
  • 注意:店頭小売と買取の差(スプレッド)、小口の手数料など“見えにくいコスト”

参考:
田中貴金属:売買価格と別途手数料

ETF・投信(金融商品としての金)

  • メリット:売買のしやすさ/保管不要/コストが見えやすい
  • 注意:為替ヘッジ有無、信託報酬、連動方法(現物連動か先物連動か)で実質リターンが変わる

税金:金地金の売却益は「譲渡所得」扱いが基本

金地金の売却益は、一般に譲渡所得として整理され、保有期間などで扱いが変わります。

代表的な公的情報としては国税庁:譲渡所得(参考)が確認先になります。

実際の申告は個別事情で変わるため、不安があれば税理士等に相談してください。

注意:「税金・手数料・スプレッド」を見落とすと、相場が上がっても手取りが伸びないケースがあります。


7. 迷った人のための“判断チェックリスト”

次の質問に「YES」が多いほど、金を“少額から分散”で組み込む合理性が出やすいです。

  • 生活防衛資金(目安:生活費3〜6か月)はすでに確保している
  • 株や投信が下がる局面で、資産全体のブレを少しでも抑えたい
  • 金は「増やす主役」ではなく「守りの補助輪」だと理解できている
  • 一括ではなく、積立・分割で買うつもりだ
  • 円高になれば円建て金は下がり得ると腹落ちしている

逆に、次に当てはまる人は、金より先に整える優先順位があるかもしれません。

  • 家計が赤字、または毎月の資金繰りが不安定
  • 短期で大きく増やしたい(値上がり益狙いが主目的)
  • 下落時に冷静でいられない(損切りが習慣化してしまう)

8. FAQ

Q1. 「2万5,000円を超えた」なら、もう高すぎて買わない方がいい?

“高いか安いか”は、目的で答えが変わります。
短期の値上がり益狙いなら慎重で、分散(保険)目的なら「比率を小さく・分割で」なら検討余地はあります。
価格は同日でも動いており、過熱局面で一括投入は平均購入価格を悪化させやすい点に注意してください。
出所:田中貴金属

Q2. 円安が戻ったら、金は下がる?

円建て金は「金(ドル)×ドル円」なので、円高になれば円建て金は下押しされやすいです。
ただし同時にドル建て金が上がれば相殺される場合もあり、単純に一方向ではありません。

Q3. 現物とETF、資産形成ならどちらが向く?

“守りの分散”として手間やコストの透明性を重視するならETF・投信が向きやすい一方、
“信用リスクを極小化したい”なら現物を選ぶ人もいます。現物は手数料やスプレッドを事前に確認するのが重要です。


参考リンク(一次・準一次情報)と注意書き

本記事は、2025年12月24日時点で公開されている情報をもとに、一般向けの分析として整理したものです。
将来の価格を保証するものではありません。投資判断は、目的・許容リスク・保有期間を踏まえ、ご自身の責任で行ってください。

参照した主な情報源

この記事を書いた人


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一条 蓮(いちじょう れん)

経済・金融ニュースをわかりやすく解説!経験豊富な経済アナリスト

【経歴】

1971年、福岡県北九州市生まれ。父は中小製造業の営業マン、母は公立中学校の国語教師。
幼い頃から「景気が悪いとボーナスが減る」父の背中と、新聞を声に出して読む母の姿を見て育ち、「経済」と「言葉」の両方に自然と興味を抱く。
都内国立大学経済学部卒業後、大手証券会社のリサーチ部門に入社。入社してしばらく後に同業者の山一證券の自主廃業など大きな経済動乱を経験し、「難しいことを、難しいまま伝えるレポートは誰も救えない」と痛感。
以後、「生活者目線の経済解説」にこだわり続ける。現在は独立系の経済アナリストとして、ファイナンシャルプランナーとして活動しながら、マクロ経済・金融政策・資産形成をテーマに、個人投資家向けの解説記事やセミナーを多数発信している。


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