
- この記事でわかること
- そもそもNISAとは?──利益にかかる税金をゼロにしてくれる「特別な口座」
- 新NISAの「つみたて投資枠」とは?──長期・積立・分散専用の安心ゾーン
- 新NISAつみたて投資枠のスペック一覧──上限・枠・期間を整理
- つみたて投資枠で買える商品──「選びやすくするための制限」と考える
- なぜ初心者こそ「新NISAつみたて投資枠」から始めると安心なのか
- こんな人に「新NISAつみたて投資枠」は向いています
- 新NISAつみたて投資枠の注意点 ─ 「魔法の制度」ではないからこそ知っておきたいこと
- 今日からできる「新NISAつみたて投資枠」スタートの3ステップ
- まとめ:積立は退屈かもしれません。でも、退屈こそ最強の味方です。
- 参考・出典リンク(制度確認用/必ず最新情報をご確認ください)
- この記事を書いた人
この記事でわかること
- 新NISAのつみたて投資枠とは何かが、専門用語なしでイメージできる
- 年間上限額・非課税保有限度額など、数字のポイントがすっきり整理できる
- どんな商品が買えるのか、対象商品のイメージがつかめる
- どんな人に向いているか・注意点は何かがわかり、自分に合うか判断しやすくなる
- 明日からでも口座開設して始められるように、スタートの3ステップを具体的に理解できる
そもそもNISAとは?──利益にかかる税金をゼロにしてくれる「特別な口座」

まずは土台となるNISA(少額投資非課税制度)から簡単に整理します。
通常、投資信託や株式で利益が出ると、その利益に対して約20%の税金(所得税+住民税)がかかります。
たとえば10万円の利益が出た場合、約2万円は税金として引かれ、手元に残るのは約8万円です。
一方、NISA口座の中で得た利益は非課税です。
同じ10万円の利益でも、まるごと自分の資産として残すことができます。
この「税金がかからない」という差が、長期になればなるほど効いてきます。
2024年からの新NISAでは、この非課税で投資できる枠が大きく拡充され、さらに非課税で保有できる期間も“無期限”になりました。
「いつまでに売らなきゃいけないの?」と期限に追われない、落ち着いた制度設計になっています。
新NISAの「つみたて投資枠」とは?──長期・積立・分散専用の安心ゾーン

新NISAには、2つの投資枠があります。
- 毎月コツコツ型のつみたて投資枠
- 株式やETFなども使える成長投資枠(※詳細は別記事)
このうち本記事で解説する「つみたて投資枠」は、長期・積立・分散投資に向いた投資信託などだけを対象にした、コツコツ派のための枠です。
対象商品は、金融庁が定める基準を満たしたものに限定されています。
たとえば、
- 販売手数料がかからない(ノーロード)こと
- 信託報酬などのコストが一定水準以下であること
- 信託期間が長期または無期限で、長期保有に向いていること
- 毎月分配型など、短期志向になりやすい商品は対象外であること
また、あまり知られていませんが、条件を満たした一部のETFも、つみたて投資枠の対象になっています。
ただし現時点では投資信託が中心で、ETFはかなり絞り込まれたラインナップです。
生活の言葉で言うと、「長く持ち続けやすく、手数料が安く、コツコツ増やしたい人向けの商品だけを集めたコーナー」が、つみたて投資枠なのです。
新NISAつみたて投資枠のスペック一覧──上限・枠・期間を整理
一度、数字の面を表で整理しておきましょう。
| 項目 | 内容(2024年以降の新NISA) |
|---|---|
| 年間投資枠(つみたて投資枠) | 年間最大120万円 (例:月10万円まで積立が可能) |
| 年間投資枠(合計) | つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円 = 最大360万円/年まで投資可能 |
| 非課税保有限度額(生涯の総枠) | 生涯を通じて1,800万円まで非課税で保有可能(簿価ベース) うち成長投資枠として使えるのは1,200万円まで ⇒ 残り600万円分は、つみたて投資枠でしか使えない専用ゾーン |
| 非課税保有期間 | 無期限 ⇒ 「いつまでに売らなきゃ」という期限に追われない |
| 投資対象 | 金融庁が認めた、長期・積立・分散投資に適した投資信託や一部ETF (手数料が一定水準以下、信託期間が長期、毎月分配型を除外など) |
| 購入方法 | 積立契約に基づく「定期・継続的なつみたて」のみ ⇒ 一度きりのスポット購入や、一括投資だけの契約は不可 |
重要なのは、「つみたて投資枠はあくまで『積立専用』の枠」という点です。
そのかわり、時間をかけて買付タイミングを分散しながらリスクをならす設計になっています。
年間投資枠(120万円・360万円)と、生涯の非課税保有限度額(1,800万円)は別物ですので、
「毎年どれくらいずつ積み立てるか」「最終的にどのくらいを非課税で持ちたいか」を分けて考えると整理しやすくなります。
つみたて投資枠で買える商品──「選びやすくするための制限」と考える

つみたて投資枠で買える商品は、金融庁へ届出された対象商品に限られています。
これは裏を返せば、最初から「長期・積立・分散」向きのものだけに絞られているということです。
特徴を生活の言葉に置き換えると、次のようなイメージになります。
- 長く持ちやすい:信託期間が長期または無期限
- コストが高すぎない:信託報酬などが一定水準以下
- 短期志向になりにくい:毎月分配などは除外
- 分散しやすい:株式や債券などに幅広く投資するファンドが多い
対象商品一覧は、金融庁のNISA特設サイトで公表されています。
「いま自分が買おうとしている商品が、つみたて投資枠の対象かどうか」は、必ず公式情報で確認しておきましょう。
具体的な銘柄名はここでは挙げませんが、全世界株式・先進国株式・国内株式などに幅広く分散できるインデックスファンドが多く含まれています。
インデックス型の商品は、「市場全体の成長に乗る」というイメージで持っていただくと分かりやすいと思います。
なぜ初心者こそ「新NISAつみたて投資枠」から始めると安心なのか

ここからは、つみたて投資枠をこれから投資を始める人の「第一歩」におすすめしやすい理由を整理していきます。
① 少額から設定でき、家計に無理が出にくい
つみたて投資枠の年間上限は120万円ですが、実際に使い始めるときはもっとずっと少額からで大丈夫です。
たとえば、
- 毎月5,000円
- 毎月1万円
- ボーナス月だけ少し上乗せ
こうしたイメージで、「これなら1年は続けられそう」という金額を決めるところからスタートして構いません。
投資は、金額の大きさよりも続ける年数が効いてきます。
「少額でも続ける」ことこそ、将来の自分への一番のプレゼントだと考えてください。
② 定期的な積立で「高値づかみ」のリスクを抑えられる
つみたて投資枠では、一括投資ではなく、毎月などの定期的な積立が前提です。
これは、いわゆるドルコスト平均法を自然に使う形になります。
毎月同じ金額で買っていくと、
- 価格が高いとき:買える口数が少なくなる
- 価格が安いとき:買える口数が多くなる
という動きになり、結果として「平均購入単価」がならされていく効果が期待できます。
「一気に投資したら、その直後に暴落してしまった……」というような精神的ダメージの大きい失敗を避けやすいのが、この仕組みの大きなメリットです。
③ 非課税&無期限で、複利の力をじっくり味方にしやすい
新NISAでは、非課税で保有できる期間が無期限になりました。
これは、長期の資産形成にとって非常に大きなポイントです。
時間をかけて運用することで、「利益が利益を生む」複利の力が働きやすくなります。
途中で値動きが気になる場面は何度も出てくると思いますが、「期限が来るから売らなきゃ」というプレッシャーがない分、落ち着いて長期目線を持ちやすい環境だと言えます。
④ 商品がある程度絞られており、選び疲れしにくい
通常の証券口座には、何千本もの投資信託が並んでいます。
その中から一本を選ぶのは、正直に言って初心者にはかなり酷な作業です。
つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした商品に絞られているため、最初から「長期積立に向いたものだけが並んでいる棚」から選ぶイメージになります。
もちろん、その中でもインデックスファンドを中心に選ぶなど基本の考え方はありますが、土台としての安全性が一段高くなっている分、商品選びのストレスが軽くなるはずです。
こんな人に「新NISAつみたて投資枠」は向いています

- これから投資を始めたい完全な初心者の方
- 老後資金や教育資金などを、10年・20年かけてじっくり準備したい方
- 仕事や家事が忙しく、頻繁に相場をチェックする時間がない方
- ドキドキする短期売買よりも、「ほったらかし」に近い運用をしたい方
- 「一発で大きく当てたい」より、コツコツ確実に増やしたいという価値観の方
一方で、個別株の値動きを追いかけたい、短期売買にも挑戦したい、といったニーズが強い場合は、つみたて投資枠だけでは物足りないかもしれません。
その場合は、株式やETFなども使える成長投資枠との組み合わせを考えることになります。詳しくは、以下の別記事で整理しています。
【初心者向け】新NISA「成長投資枠とは?」これだけ読めば迷わない仕組みと使い方を完全ガイド
新NISAつみたて投資枠の注意点 ─ 「魔法の制度」ではないからこそ知っておきたいこと

① 元本割れのリスクはゼロにはならない
つみたて投資枠は税制面で非常に有利な制度ですが、投資である以上、元本保証ではないという点はどうしても外せません。
基準価格(投資信託やETFの価格)は日々上下しますので、特に短い期間では元本を割り込む可能性も十分にあります。
大切なのは、「いつ使うお金か」を区別することです。
近い将来(数年以内)に確実に使う予定のあるお金は、原則として投資には回さず、生活費の予備や当面の支出として、預金などで確保しておきましょう。
② 年間投資枠は「翌年に繰り越しできない」
つみたて投資枠の年間上限は120万円ですが、使わなかった分を翌年に繰り越すことはできません。
とはいえ、「今年は枠をフルに使えなかった……」と気に病む必要はありません。
一番重要なのは、無理なく続けられる金額で、投資を継続することです。
「枠を使い切る」ことを目的にしてしまうと、かえって家計に無理が出て、途中でやめざるを得なくなるリスクもあります。
“続けやすいペース”を優先する考え方を持っておきたいところです。
③ 売却するときの「枠の戻り方」にはルールがある
新NISAでは、商品を売却した場合、翌年以降に、売却した分の非課税枠を再利用できる仕組みがあります。
ただし、戻ってくる枠は「売却したときの価格」ではなく、「買ったときの金額(簿価)」が基準です。
例えば、100万円分購入した商品を、80万円で売っても120万円で売っても、復活する枠は「100万円分」というイメージになります。
売買を細かく繰り返すよりも、「長期保有を前提に、必要なときに計画的に崩す」ほうが、新NISAの枠を有効に活かしやすいでしょう。
④ NISAでは損益通算や繰越控除ができない
NISA口座で出た損失は、他の課税口座の利益と損益通算することができません。
また、損失を翌年以降に繰り越して税金を軽くする「繰越控除」も使えません。
「利益に税金がかからない代わりに、損失についての税制上の救済もない」
というのが、NISAの基本的な考え方です。
だからこそ、ハイリスクな商品で一発勝負をするよりも、値動きが比較的マイルドな商品を長期で積み立てる、というスタンスが大切になってきます。
今日からできる「新NISAつみたて投資枠」スタートの3ステップ

ステップ1:まずは「生活防衛資金」をよけておく
いちばん最初にやるべきことは、銘柄選びではありません。
まずは、生活防衛資金を確保することです。
目安として、生活費の3〜6か月分程度を、普通預金などすぐに引き出せる形で用意しておきましょう。
ここは「投資用のお金」とはきっちり分けて考えます。
この準備があるだけで、相場が一時的に下がったときにも、「生活費には手をつけなくていい」という安心感を持って相場を眺めることができます。
ステップ2:「毎月いくらなら一年続けられるか」を決める
次に、家計全体を見渡しながら、「この金額なら一年は続けられそうだ」と感じる積立額を決めます。
ここでは、見栄を張らないことが何より大切です。
毎月1万円でも、5,000円でも構いません。
「少し物足りないかな?」くらいの金額から始めるほうが、むしろ継続しやすくなります。
今日決めた小さな金額が、未来のあなたの選択肢を静かに増やしていきます。
ステップ3:インデックスファンド中心に1〜3本へ絞る
最後に、具体的な商品を選びます。
つみたて投資枠では、全世界株式・先進国株式・国内株式などに分散したインデックスファンドを中心に、まずは1〜3本程度に絞ることをおすすめします。
銘柄数を増やしすぎると、「自分が何を持っているのか」「なぜ選んだのか」が分かりづらくなってしまいます。
シンプルな構成を長く続けることが、結果としてブレにくい運用につながります。
具体的な銘柄選びや、各ファンドの比較方法については、
別記事で個別に解説していく予定ですので、そちらも参考にしてみてください。
まとめ:積立は退屈かもしれません。でも、退屈こそ最強の味方です。

新NISAのつみたて投資枠は、派手さのない制度です。
毎月一定額を自動で積み立てるだけなので、目先の「当たり・ハズレ」で一喜一憂するような刺激は、ほとんどありません。
ですが、「退屈な積立」ほど、将来の安心に効いてくるものは他にありません。
毎月同じ日に、同じ金額を、静かに積み立てていく行為は、今はほとんど変化が見えなくても、10年・20年という時間の中で、確かな違いになってあらわれてきます。
新NISAのつみたて投資枠は、そんな「焦らない人のための、裏切りにくい仕組み」です。
貯金だけでは不安。でも、無理なリスクも取りたくない。
そう感じているなら、まさにこの枠はあなたのために用意されたと言ってもいいかもしれません。
もしまだ一歩を踏み出せていないのであれば、まずは「毎月いくらなら一年続けられるか」を、紙に書き出してみてください。
そこから先の口座開設や銘柄選びは、ひとつずつ、一緒に整えていきましょう。
参考・出典リンク(制度確認用/必ず最新情報をご確認ください)
本記事で紹介している新NISA・つみたて投資枠に関する数値・制度内容は、
主に以下の一次情報(金融庁・投資信託協会など)をもとに作成しています。
制度は将来変更される可能性もあるため、実際に利用される際は、かならず最新の公式情報もご確認ください。
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁「NISA早わかりガイドブック」
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ(制度説明スライド)」
- 金融庁「つみたて投資枠対象商品」
- 投資信託協会「新しいNISAに関するQ&A」
- 日本証券業協会「新NISA白書2024」
※本記事は特定の商品・金融機関を推奨するものではなく、一般的な情報提供を目的として執筆しています。
実際の投資判断は、お客さまご自身のご判断と責任にてお願いいたします。



